2006年05月01日
text by 阿部嘉昭 (映画評論家)
「堀内ヒロシ『未確認淫行映像・UFO』」
こりゃ、「問題ドキュメンタリー」だわ。
一般にハクイといえば小股の切れ上がった女への形容だが
ここでのハクイは「UFO町おこし」をして
脱力的に全国にその名を一部轟かせる石川県「羽咋」だった!!
アイドル志願兵うるるまみを神輿にかつぎ
UFO発見の旅に出るスタッフ、出演者たち。
うるるまみの「押し出しマンコ」、
その「女の細道」に旅情が宿るかといえば宿らない。
あまりに羽咋、なーんもなさすぎて。
脱力的なうるるの歌と踊りに
享受者の審美眼がどんどんダラシナクなってゆく・・・
(ドキュメンタリーにこんな「のほほん」リズムが許されるかどうかさえ
人は判断不能になってしまうのだった)。
もともと作品にはスタッフのヤラセ芝居が横行していたのだが、
やがてスタッフ間に「UFO」を観たとの証言が続出しだす。
それがうるるのSEXと関係アリ、という流れとなって、
で、ついに、その真偽を享受者に問いかける「問題映像」が出現する!!
ああ!! これはドキュメンタリーにたいし
あらゆる審級において苛烈な問いかけをおこなう、
「鬼子ドキュメンタリー」だったのだった
(だとするとその後日譚部分があまりにメロウで美しいが)。
ともあれ100年後のドキュメンタリー学は
この『未確認淫行映像』の撮られた年を
「ドキュメンタリーの新しい夜明け」と定義するであろう・・・
text by 阿部嘉昭 (映画評論家)
「松江哲明『Identity』」
松江・『あんにょんキムチ』・哲明は
現今ドキュメンタリー界の最要注意人物である。
V&R作品でドキュメンタリー精神を磨き、
ハメ撮りを覚えて頽れてゆくのかと思いきや、
ちゃっかりカレーライスを女性思慕の道具にしたりしている。
喰えないヤツ、「自分派」なのか「社会派」なのかもわかりゃしない。
で、この『Identity』ではAV出演者に
日本国籍ではない者が多いという事実をつきつけ、
「在日」や中国人のSEXを撮りまくるのだった。
そこで勃ったりすると、
その者の隠れた「性の植民地主義」が暴かれてしまう――
だから良心は勃たないよう身体に制御をかけるのだけど、
やっぱりソコはソレ、「催して」しまう――
その意味でこのドキュは享受者自身のアイデンティティをぐらつかせる、
そんな罠をつきつけてはいないだろうか!?
おもえば、AVという「何でもアリ」の表現の器は
松江のような「何でもアリ」の異才をずっと待っていたのだった。
その意味で本作は「出会いの金字塔」、画期作と呼べる!!
観るべし、感じるべし!!
text by 阿部嘉昭 (映画評論家)
「平野勝之/カンパニー松尾/真喜屋力『UNDER COVER JAPAN』」
2003年暮―2004年正月、
三人の「自己執着」型映像狙撃兵が
厳寒の北海道を突っ切り、東京をさまよい、沖縄に戻り、
世界が同時に複数であることをドキュメンタルに証明した!!
――この三つの局相とはすべての局相である。
ただ、平野が選び取る風景には
もうあのメランリックな犬の姿がない。
カンパニーのクリスマスSEXもそののち
「東京流離」の悲哀を湛えてしまう。
真喜屋の沖縄も寂れたピンク映画館とハリセンボンが
風景のなかに溜息を立ち上らせるだけ。
この三つの淋しさの局相とはすべての淋しさの局相である。
だからいい!! すごくいい!!
あ、金子光徳によるDVDジャケットも大好き。
そこでは酔って路上にヘタった女が
散乱した花の姿をしていた。
そう、この『UNDER COVER JAPAN』は
世界がフラッシュされ写真集となったとき
どの頁も沈鬱な色に染まると知っている。
「僕」も「あなた」も実はすでにそのなかにいるんだ、と。
text by 阿部嘉昭 (映画評論家)
「カンパニー松尾『Action02/巨乳ちゃんと不思議ちゃん』」
大カンパニー松尾は
「巨乳vs不思議」の対立構図など
始めっからワヤクチャにするだけだ。
つまり「女は女である」、それが彼の思想。
ってその同語反復、ゴダールじゃん!!
けれどこんな同語反復のなかから
「世界はいろいろ」が見え出すのがスゴイ。
もっとも哀しい不思議ちゃんのゲロ、
もっとも正視しにくい姥桜、
もっとも奇妙なケータイ報告女・・・
けれども「女の細道」の旅路の果て、
松尾カンパニー芭蕉は、思想的な恋をする。
AV親和度抜群の「ニュータイプ」、四条大橋の女に。
こんな「ニュータイプ」がやがて蔓延すれば、
世界の映像や、世界の恋が変わる――
それがこの3時間40分の長尺ドキュが突きつける、
最終的な希望の哲学なのだった!!
フーリエ主義者、私は、その希望にまみれ泣いた・・・
text by 阿部嘉昭 (映画評論家)
「カンパニー松尾『Action01/人妻』」
大日本「人妻」低国の腐食や溶解や脱力を、
大カンパニー松尾が全国縦断ドキュメント!!
快調な肉薄! 快調な乖離!(かいり)
哀調な肉薄! 哀調な乖離!(かいり)
大松尾のシューティング(狙撃)道具は
相変わらずの極上肉棒と天才カメラだが、
これらのあいだにはむろん真実探究の魂もある。
その魂がやがて「疲れる」のが色っぽいぞ。
それをまた豊田道倫の音楽が極上に染めあげたりして。
ああ!! でも、セックスを仕事やカネにするなんて
松尾さん&人妻たち、何て切ないんだろう。
そうだ、このドキュメンタリーは
大日本ドキュメランコリーだ!!
